ベトナムの経済成長の問題 国内物価上昇と労働最低賃金
近年、経済成長が著しいベトナム
国内の工業団地に、日本を含む外資製造業が次々に参入し、生産拠点として活気づいて来ました。
日本でも衣類や日用製品のタグに"Made In Vietnam"の文字を見るようになりました。
まさに製造業を足がかりに今後経済が成長していく様相を呈しています。
ただし、進出する製造業にとっては、必ずしも良いことばかりではないのです。
その一つに国内物価上昇による最低賃金上昇があります。
ベトナムでは、国内の物価上昇が続いており、それに応じて労働者の最低賃金も上昇を続けています。
1980-2018年の消費者物価指数(CPI)の推移をグラフに示すと、以下のとおりとなります。
この上昇が経済発展にともなう上昇であれば良いのですが、
実際は、ベトナム・ドン安によるインフレが上昇の原因です。
その結果、最低賃金について労働者側は年6%の上昇を要求しています。
しかし、製造業のとくに労働集約型の産業では、人件費は安いほうが良いため、
賃金上昇は外資製造業の参入にとって良いニュースとは言えません。
現状、ベトナムの最低賃金それ自体は低いため、未だ生産拠点としての魅力は高い状態です。
しかし、今後数年〜十数年かけて製造業を足がかりとした経済成長を行うには
経済の成長度合いに見合った労働賃金を設定し、継続した外資誘致を行うことが
ベトナムに求められると考えます。